本研究成果はリン脂質脂肪酸組成の変化と肝線維化の関連性を初めて明らかにした。リン脂質脂肪酸組成は臓器、細胞によって異なり、細胞機能にとって理にかなった分布であることが推察されるが、その生物学的意義は不明な点が多い。本研究においてPUFA含有リン脂質が肝星細胞の恒常性の維持に重要であるという重要な知見が得られた。組織線維化は臓器不全の入り口に当たる共通の病態である。組織線維化の共通原理につながる可能性がある点、肝臓のみならず、組織線維化の進行抑制、臓器不全の進行予防といった治療法の確立につながる点で学術的にも社会的に重要であると考える。
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