研究課題/領域番号 |
20K07397
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松本 俊英 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (10623184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 卵巣明細胞癌 / プロテオミクス / EBP50 / PARP1 / 抗癌剤耐性 |
研究実績の概要 |
2021年度はEBP50((Ezrin-radixin-moesin-binding phosphoprotein-50)の機能解析を中心に実施した。 前年度作製した卵巣明細胞癌細胞株(TOV-21G:EBP50細胞質発現)をshRNAによるEBP50ノックダウン系を用いて、シスプラチン(CDDP)及びパクリタキセル(PTX)処理を行った。その結果、EBP50ノックダウン系では両抗癌剤ともに感受性が亢進しており、細胞生存率の低下、PI染色後FlowcytometryによるsubG1-populationの増加、HE染色によるアポトーシス細胞の増加を認めた。また、Western blot解析では、XIAPやBcl2といった抗アポトーシス因子の低下、baxやcleaved caspase 3といったアポトーシス指標因子の増加を認めた。以上より、EBP50は卵巣明細胞癌において、直接抗癌剤耐性能獲得に関与していることが示唆された。 さらに、EBP50が抗癌剤耐性能獲得の機能を発揮する上で、パートナーとなる分子の同定を試みた。TOV-21G細胞から抽出したタンパク質を用いた共免疫沈降法により、EBP50と結合するタンパク質をショットガンプロテオミクス法により網羅的に解析した。解析結果をWard's法によるクラスター解析及びVolcano plot法といったバイオインフォマティクス解析により絞り込んだところ、DNA修復酵素として報告のあるPARP-1分子が同定された。 次年度は、EBP50とPARP1の結合意義及び臨床病理学的因子や予後との相関性を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EBP50の機能解析について順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、EBP50の機能解析及びそのパートナー分子の同定に成功した。次年度は、両分子が結合する意義とその臨床的価値について踏み込んだ解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
卵巣明細胞癌細胞株を用いたEBP50機能解析は順調に進んだため、その後のマウスを用いた検討及び小分子化合物の使用で支出する予定です。
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