研究成果の概要 |
本研究では申請者らが開発したβ-1,6-グルカン高感度測定法の真菌感染症診断薬としての応用可能性を検証するため、最適なヒト検体前処理法の検討および医薬品・食品由来の類似多糖による偽陽性反応の発生可能性について各種検討を行った。ヒト血清中にはβ-1,6-グルカン測定を阻害する因子が認められたが、希釈加熱法を適応することで、血清中の微量β-1,6-グルカンの検出が可能となった。一部のβ-グルカン製剤と僅かな反応を示したものの、血中β-1,6-グルカン測定において食事の影響を受けにくいことが明らかとなった。以上より、本測定法が真菌感染時に放出されるβ-1,6-グルカンを検出できる可能性が示された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
酵素をもとに開発したβ-1,6-グルカン高感度検出法によって、これまで解析が困難だったβ-1,6-グルカンの生体内での挙動を追跡できる可能性があった。本研究では、血清などの生体検体中のβ-1,6-グルカンを本測定法で高感度に検出するための最適な前処理法を決定し、感染症診断薬としての応用可能性を示した。また、食事由来β-1,6-グルカンのマウス体内での挙動についての知見はこれまでにもほとんど得られていなかったため、本研究成果は多糖の挙動に関する基礎的な知的基盤としての価値も持つ。
|