研究課題/領域番号 |
20K07508
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
妹尾 充敏 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (20646624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Clostridioides difficile / 糞便移植療法 |
研究実績の概要 |
クロストリディオイデス・ディフィシルは抗菌薬関連下痢症・腸炎を引き起こす主要な原因菌であり、医療施設内でアウトブレイクを起こすなど院内感染が世界的に問題となっている上、死亡例も稀ではないため、本菌の引き起こす感染症(CDI)の対策は急務である。CDIの治療法の1つである糞便移植療法は、効果は非常に高いが、現状の施術方法では、ドナーの潜在的な疾患を引き継ぐなど危険性やリスクを伴っている。本研究では、糞便移植療法を安全性の高い方法へ改善するため、ドナーの糞便中から治療の鍵となる因子を同定し、その作用機序を明らかにすることを目的としている。 昨年度、糞便から標的因子の精製を進める中で、異なる二つの部分精製標品において、どちらも菌の増殖を抑制したことから、標的とする増殖抑制因子が含まれているのはどちらの標品かを調べた。その結果、一方の標品は使用したPCR-ribotypeの異なる菌株8株全ての増殖を抑制したが、もう一方の標品は使用した菌株の内、一つのタイプの菌株のみ増殖を抑制したことから、標的とする増殖抑制因子は使用した8株全ての増殖を抑制した標品の中に含まれることが明らかになった。その後、精製条件の検討を進め、精製プロトコールの作成を行い、最終標品に近いものが得られた。また、保存条件などについても検討を行い、情報を得ることができた。今後、精製プロトコールを完成させ、最終標品を用いて同定ステップに進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異なる二つの部分精製標品がどちらも増殖を抑制する、という昨年度判明した問題を解決するため、予定外の時間を要したが、この問題は本年度解決することができた。その後は予定通り順調に精製を進めることができたが、同定を行うところまでは進めることができなかったため、当初予定していた研究計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は精製法の確立および因子の同定まで進める予定であったが、その一歩手前の段階までとなってしまったことから、来年度は早々にこれらを行い、本因子の増殖抑制の作用機序について研究を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
多少の繰越があるが、令和2年度分の繰越を含め、令和3年度分はほぼ予定通り使用した。
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