研究課題/領域番号 |
20K07553
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
遠田 悦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (00589327)
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研究分担者 |
寺島 裕也 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 准教授 (90538729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マクロファージ / FROUNT / ケモカイン |
研究実績の概要 |
マクロファージはケモカインなどの遊走因子の刺激を受けて炎症・傷害組織に浸潤し、微小環境に応じて多様な性質を獲得して炎症・免疫応答の中核を担っている。ケモカイン受容体会合分子FROUNTはマクロファージの細胞遊走を促進し、がんや炎症性疾患の増悪化に関与する。研究代表者はこれまでにFROUNTを欠損したマクロファージやFROUNT阻害剤で処理したマクロファージは糸状仮足に富む特有の形態を示すことを明らかにした。本研究ではマクロファージの機能と形態との相関を明らかにし、形態的特徴からマクロファージの機能や病態との関わりを推測する手法を探索することを目的とする。本年度は、FROUNT欠損やFROUNT阻害によって生じる単球・マクロファージの細胞形態の変化に伴う細胞内刺激応答シグナルの変化を明らかにするため、FROUNT欠損マウス骨髄から分化誘導したマクロファージ、および野生型マクロファージへのFROUNT阻害剤の添加条件にて、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリーを用いてLPSやFc受容体刺激に対する細胞内シグナル伝達分子の活性化状態の変化を解析した。複数のMAPキナーゼの発現量、リン酸化量にFROUNT欠損による著明な変化を認めた。ウェスタンブロッティングで変化の見られた複数のシグナル分子のリン酸化状態と細胞内局在をマクロファージの細胞形態も含めて観察するために、チラミドシグナル法を用いた検出系を構築した。さらに、疾患モデル組織上におけるシグナル分子の検出、FROUNT阻害剤投与による変化について解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マクロファージの刺激依存的な細胞内シグナル状態の変化について、骨髄由来マクロファージを用いたウェスタンブロッティング解析を先に進めたため、疾患モデル組織上での解析が遅れており、引き続き検出の条件検討および解析を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
疾患改善効果の認められたFROUNT欠損マウスおよびFROUNT阻害剤投与条件での炎症性疾患モデルの組織を用いて、炎症組織に浸潤した単球・マクロファージの形態と機能の関係について引き続き解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
In vitroの解析を進め、疾患モデル組織における単球・マクロファージの形態・機能解析が遅れているため、消耗品費の使用が少なかった。翌年度分ついてFROUNT欠損マウスやFROUNT阻害剤投与による疾患組織上のマクロファージの形態、シグナル分子局在の解析に活用する。
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