我々は日本人腎芽腫150症例の解析から、WT1遺伝子が位置する11pに腎芽腫の新規原因遺伝子がある可能性を見出していた。より詳細な染色体異常解析から11番染色体のWT1遺伝子よりテロメア側に限局した共通微小染色体異常領域(11p13-14領域 1.0 Mb)を同定し、新規原因遺伝子の存在が示唆された。11pにLOHが認められた腎芽腫32症例にて、この領域の3遺伝子について変異解析を実施したが変異は認められなかった。しかしながら、多くの腫瘍でmRNA発現消失または減少が認められた。このことからこの領域の原因遺伝子候補は欠失とエピジェネティック異常が生じていることが明らかになった。
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