本研究では、がん幹細胞がその生存・増殖や進展のために選択的に取り込んで利用する代謝物質の同定を目的とし、代謝物質ライブラリーを応用したスクリーニングや、マルチオミクス解析を行なった。卵巣がん幹細胞モデルを用いた代謝物質スクリーニングの結果、がん幹細胞が特定の代謝物質に依存し生存・増殖している現象は確かめられなかった。一方、非幹細胞性(分化型)がん細胞ではATPやUTPなどのヌクレオチド3リン酸に依存して生存・増殖していることが明らかとなった。がん幹細胞において核酸類の含有量が多かったことを考え合わせると、がん幹細胞が周囲の分化型がん細胞に核酸類を供給してその制御を行なっていることが示唆された。
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