研究課題
基盤研究(C)
乳がん患者の長期予後を悪化させる晩期再発・転移は、治療抵抗性の休眠がん細胞が再増殖することが原因であるとされている。本研究では、RB不活性化により誘導される休眠細胞の誘導機構の解明を細胞シグナルと代謝の観点から明らかにした。RB不活性化は、細胞周期にかかわる分子の発現低下ならびにエネルギー酸性に関わる分子のリン酸化レベルの変動が一部の細胞において起こることを見出した。また、RB不活性化はRAS成熟に関わるFNTBの発現調節を介して、RAS活性を低下させることを示唆する結果を得た。
腫瘍分子生物学
休眠がん細胞は、増殖シグナルに応答しないため、HER2阻害や内分泌療法の効果は低い。そのため、長期治療後に再発・転移した場合、予後は極めて悪い。休眠状態に移行する機構を明らかにし、その機構を阻害することで休眠細胞が除去することができれば、新たな治療法の確立につながる。