肺小細胞がんにおけるプリン塩基サルベージ経路を介した細胞増殖制御機構の解明を目指して研究を行った。プリン塩基の生合成経路には、新規生合成経路とサルベージ経路の2種類があるが、HPRT1というサルベージ経路の重要酵素の遺伝子を欠失させたヒト肺小細胞がん細胞株(KO株)を樹立した。そのKO株を用いて、1.葉酸代謝拮抗薬に対する感受性、2.免疫不全マウスに皮下腫瘍を形成して腫瘍進展への寄与、3.同位体ラベルを用いた新規生合成経路とサルベージ経路の利用割合、これら3点の実験を主に行い結果を得た。その結果、一部の肺小細胞がん細胞株において、サルベージ経路が細胞増殖に重要であることが示唆された。
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