本研究では、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体)が著効を示さない腫瘍に対する新たな治療戦略の構築を目的に、がん組織血管に対する特異抗体の創製を目指して研究を行った。その結果、ファージディスプレイ法を駆使することで、腫瘍血管内皮細胞に強く結合する一本鎖抗体提示ファージを創出することに成功した。また、結合力向上を目的に構築したFcキメラタンパク質を用いた検討から、得られた抗体は正常血管内皮細胞には結合しないこと、さらにはがんの種類に依らず結合できることが明らかとなった。以上、創出したがん血管特異抗体は、免疫チェックポイント阻害薬との併用に資する抗体であることが期待される。
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