研究実績の概要 |
終末期がん患者ではランダム化比較試験等の実施が困難であり、またランダム化比較試験の集団と比べると、実臨床の集団は脆弱性が極めて高く、介入試験の結果をそのまま臨床応用できないという問題点がある。本研究は、緩和治療のレジストリ研究であり、終末期がん患者の難治性症状に対する薬物療法のリアルワールドでの安全性・有効性を明らかにすることを目的とした研究である。対象となる難治性症状および症状緩和治療について、あらかじめ研究協力者と協議してリアルワールドでの症例数、治療内容、アウトカム指標を整理したうえで、webベースのレジストリを用いて研究参加施設から臨床データを収集し、治療の安全性・有効性を明らかにするという手順で研究を進める。2022年度は、せん妄治療に関する総説の作成し英文誌に投稿(Maeda I et al. J Pain Symptom Manage. 2023 Jan;65(1):e81-e85.)を行ったこと、研究協力者と共同して、せん妄(Abe A, Maeda I et al. Jpn J Clin Oncol. 2023 Mar 30;53(4):321-326., Inoue S, Maeda I Acta Med Okayama. 2022 Apr;76(2):195-202. 他)、死前喘鳴(Yamaguchi T, Maeda I. Jpn J Clin Oncol. 2022 Jul 8;52(7):774-778., Yamaguchi T, Maeda I. BMJ Support Palliat Care. 2022 Nov 10 )に関する実臨床データをまとめて報告したことが主な成果である。引き続き、研究参加施設、データセンターと緊密な連携を取って、終末期がん患者に対する緩和治療のリアルワールドデータを得られる仕組みの構築を行っていく。
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