研究課題/領域番号 |
20K07868
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
藤田 浩司 徳島大学, 病院, 特任講師 (80601765)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジストニア / fMRI |
研究実績の概要 |
ジストニアはパーキンソン病などに次ぐ主要な運動異常症で、日常生活に著しい支障をきたす。遺伝性のもの(DYTシリーズ等)は2015年に指定難病となり治療法開発が待たれる。しかし、ジストニアの大部分を占める孤発性では診断マーカーが存在せず、診断が症候学に依るため臨床医によるばらつきが大きい。この診断の不確実さは脳深部刺激療法を含む適切な治療介入や臨床試験の妨げとなっている。そのためジストニアの診断を補助する客観的なツールが求められている。画像検査では安静時機能的磁気共鳴画像(安静時fMRI)の活用が期待されている。fMRIは、BOLD(blood oxygenation level dependent)コントラストに依存して変化する信号を元に、神経活動の増減を推定する技術である。安静時fMRIでは、BOLD信号の自発的変動にもとづき脳領域間の神経活動の相関(機能的結合)を評価できる。しかし、安静時fMRIのネットワークレベルの解析には課題がある。この課題を解決するため研究代表者らは、安静時fMRIデータに独立成分分析 (ICA)とブートストラップを用いて疾患関連ネットワークを決定・定量する新規手法を開発した。安静時fMRIへのICAの応用自体は従来なされているが、得られた各独立成分の重み付けや個人レベルでの定量については適切な方法が確立しておらず、それらの点で上記のICA-ブートストラップ手法は画期的である。本研究では同手法をジストニアに応用し安静時機能的ネットワークを検出・定量することをめざし、当該年度は症例画像の登録を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者の登録がやや遅れている。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、新規参加者の登録が当初の想定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
(a)安静時機能的ネットワークの同定と定量 ICA-ブートストラップ手法によってネットワークを同定しその発現度を定量する。ステップ1 画像データの前処理。ステップ2 グループレベル空間的ICA:個人レベルで各独立成分の発現スコアを算出する。ステップ3 独立成分の選択:1回目のブートストラップ (1,000サンプル)で疾患・健常を最も高頻度に分別する少数の独立成分を特定する。特定された独立成分に対して2回目のブートストラップ(1,000サンプル)を行い、各独立成分の係数を推定する。ステップ4 機能的ネットワークの決定と発現スコア算出:選択された複数の独立成分の線型結合によってネットワークを決定する。ネットワークの発現スコアは各独立成分の発現スコアの線型結合によって決定する。ステップ5 新しい画像データにおける当てはめと発現スコア算出:上記ステップに含まれていない個人の画像について、ステップ2で得られたグループマップに対応する個人の空間マップを推定し、上記と同じ係数を用いてネットワークの発現スコアを算出する。交差検証(cross validation) 過学習を制御するため、徳島大学と米国Feinstein医学研究所で得られた複数のデータセットを用いて行う。それによって選択された最適なモデルを安静時機能的ネットワークとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:新型コロナウイルス感染症に伴う移動制限のため、研究打ち合わせ、情報収集、研究発表等のための国内・外国旅費を使用しなかった。被験者登録にやや遅れがあり、研究補助費用の使用が予定を下回った。 使用計画:国内出張ないし外国出張が可能となった時点で、研究打ち合わせ、情報収集、研究発表等のため国内・外国旅費、学会参加費を使用する。被験者登録を進め、研究補助費用を使用する。
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