研究課題
パ-キンソン病(PD)患者脳内の神経細胞内封入体(レビー小体, LB)の主要成分である線維化α-synuclein (αS) は、病理学的指標のみならず神経変性の主因であると推定されている。多面的な研究結果から、凝集/線維化したαSがプリオン同様に神経・グリア細胞間を伝播し、周辺部へ病変を拡大させるという病態メカニズム(プリオン仮説)が提唱されている。凝集αSの細胞間伝播の背景機構は尚不明な点が多いが、細胞内取り込みに関してはエンドサイトーシスの機序が推定され、複数の細胞膜上のタンパクが凝集/線維化αS受容体として機能する事が報告されている。一方、その多くは網羅的探索で見出されたものでなく、神経組織で発現が低い等の問題が指摘されている。疎水性の高い受容体膜タンパクの単離生成に頻用されるは界面活性剤はタンパクの構造を変化させ、リガンド結合能に影響を与える等の弊害をもたらす。これを克服するため、申請者らは界面活性剤を必要としない膜融合法を用いたユニークな手法でマウス全脳由来膜タンパクライブラリを作製し、神経組織に発現する線維化αS受容体の網羅的探索を行った。その結果、(1) 神経・オリゴデンドログリア細胞表面に高発現するsortilinが線維化αSのエンドサイトーシス受容体として機能し、(2) sortilin siRNA・sortilin抗体処理によりαS取り込みが抑制される事、さらに (3) PDおよび類縁疾患である多系統萎縮症(MSA)を含めたシヌクレイノパチー患者脳内のαS陽性細胞内封入体にsortilinが共局在し、(4) PD患者の中脳黒質におけるsortilin発現が病期毎に変化する事を発見した(Ishiyama S, Hasegawa T, et al, FASEB J 2023)。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
脳神経内科
巻: 100 ページ: 84-89
神経治療学
巻: 41 ページ: 印刷中
Dementia Japan
巻: 38 ページ: 印刷中
FASEB J
巻: 37 ページ: e23017
10.1096/fj.202201605RR
Mol Syndromol
巻: 14 ページ: 461-468
10.1159/000530625
Alzheimer Disease & Associated Disorders
巻: 37 ページ: 243-245
10.1097/WAD.0000000000000560
Intern Med
巻: 62 ページ: 2419-2425
10.2169/internalmedicine.1365-22
Brain Commun
巻: 5 ページ: fcad296
10.1093/braincomms/fcad296
FEBS J
巻: - ページ: in press
10.1111/febs.17037
老年精神医学雑誌
巻: 34 ページ: 416-423
CLINICAL NEUROSCIENCE
巻: 41 ページ: 1209-1213
MDSJ Letters
巻: 16 ページ: 1-3