研究課題/領域番号 |
20K07903
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早川 英規 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (70468594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | alpha-synuclein |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)の治療研究における問題点は、病態を反映した優れたPDモデルが無く、治療開発が大きく遅れている。我々は変異αシヌク レイン(αsyn) fibrilを用い、リン酸化αsyn凝集、神経細胞障害、運動機能低下を認める新規PDモデルマウスを作成し報告した。PDなどの神経変性疾患では、炎症性サイトカインとミクログリアの活性化が神経変性に関与すると考えられている。我々はこの新規PDモデルマウスを使用 し、ミクログリアの活性化がαsynの伝播、凝集に関与する分子機構を解明することを目的とする。この分子機構を解明することで、疾患修飾 薬などの新規薬剤の臨床応用が推進されることが期待される。 今回、野生型マウス黒質にG51D αsyn fibrilを投与し、ミクログリアの状態、分布等を経時的に病理学的手法で解析を行った。またG51D αsyn fibrilをASC(apoptosis-associated speck-like protein containing caspase recruitment domain)ノックアウトマウスの黒質に投与した。ASCはNLRP3インフラマソームと呼ばれる複合体を形成して、プロテアーゼCaspase-1を介した炎症性サイトカインIL-1βやIL-18の成熟と産生を誘導する(Misawa T, et al. Nat Immunol.2013)。その為、ASCノックアウトマウスではミクログリアの活性化や炎症性サイトカイン産生誘導が抑制される。このG51Dαsyn fibril-ASCノックアウトマウス脳での黒質DA神経細胞死、αsyn凝集体形成、ミクログリアの状態と分布を経時的に病理学的手法で解析を行った。現在、G51Dαsyn fibril-を投与したASCノックアウトマウスと野生型マウスの比較検討をこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020-2021年度に行う研究において、G51Dαsyn fibrilを投与した野生型マウス、ASCノックアウトマウスの脳サンプルを経時的に回収しており、現在病理学的手法を用いて黒質DA神経細胞死、αsynの凝集体形成能や伝播能やミクログリアの状態、分布等を解析し比較検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はG51Dαsyn fibrilを投与した野生型マウス、ASCノックアウトマウスの脳サンプルを用いた生化学的手法を用い、黒質DA神経細胞死、αsynの凝集体形成能や伝播能やミクログリアの状態、分布等の解析を行う。 また2020年度に行ったミクログリアの活性化を抑えた状態のαsyn伝播、凝集の変化を解析(In vivo)するだけでなく、ミクログリアの過剰な活性化を誘導するために野生型マウスにLPS投与を行う。我々は以前、このLPSを中脳黒質に投与することでミクログリアの活性化を誘導し、DA神経細胞死を誘導することを報告している。G51Dαsyn fibril①投与前、②投与直後にLPSによるミクログリア活性化を行う。その後、αsynの伝播、凝集とDA神経細胞死を病理学的、生化学的に解析し評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進んだため
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