研究成果の概要 |
半導体デジタルPET/CTは感度および分解能に優れている. 心血管系の炎症性疾患150例においてその臨床上の有用性を検討した. 高安動脈炎や巨細胞性動脈炎などの大血管炎(外径2-3cm以上)の活動性の評価については、血管壁へのFDG集積の画像解析によって極めて有用性の高い指標が得られた. 中等度血管(外径5-8mm)の炎症である結節性多発動脈炎についても検出能の向上が確認された. 一方, 冠動脈および周囲脂肪へのFDG集積の検出は空間分解能が及ばず困難だった. 冠動脈周囲脂肪への集積は, IgG4関連疾患や心房細動などで検出されたが, 高度石灰化を有する冠動脈病変での検出率は低かった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
原発性血管炎は,診断に難渋する症例が多く,その多くが難病に指定されている. 確定診断には血管から組織を採取し組織学的に活動性炎症を確認する. 代わりに動脈造影, CTおよびMR血管造影などが行われるが,活動性の評価は困難である. FDGは活動性炎症細胞浸潤部に集積するので活動性を評価でき, 免疫抑制剤等の治療適応の決定や効果判定の指標となる. 空間分解能に優れる半導体デジタルPET/CTを用いて高安動脈炎や巨細胞性動脈炎などの大血管炎, 中等度血管炎である結節性多発動脈炎について検出能の向上が確認され, IgG4関連疾患や心房細動などでは冠動脈周囲脂肪へのFDG集積が検出された.
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