| 研究課題/領域番号 |
20K08058
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| 研究機関 | 帝京大学 |
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研究代表者 |
大谷 浩樹 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (10259145)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 診断参考レベル / CTDIvol / 被ばく線量 / X線CT装置 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、X線CT検査を受ける患者ごとの組織吸収線量及び実効線量を簡便に算出することである。そのために2021年度では、昨年度制作した「円柱＆リングファントム」を用いてX線CT検査におけるCTDIvolを改めて測定した。これらの測定の精度を向上させるために患者固定器具であるユニフレームおよびヘッドレストを購入した。
研究内容として、昨年と同条件である管電圧120 kVでX線を発生させCT照射を行い、CTDIvolを算出した。これはCT用電離箱線量計を用いてCTDIvolの算出方法に従いファントムの各厚さにて実施された。さらに電離箱線量計および半導体検出器を用いてファントム表面での吸収線量を測定した。これは、臨床において各患者の吸収線量を評価するために考えられた方法であり、患者体内での吸収線量を患者の体表面に設置した線量計を用いて相対評価するものである。
測定結果として、ファントム内部でのCTDIvolとファントム表面での吸収線量の相関が明らかになり、ファントム厚によって相関係数は異なった。
研究成果の意義として、患者の被ばく線量を評価し記録する規則に従って行われているX線CT装置に表示される線量と実測による線量を比較することができたことが大きな意義である。そして、臨床患者ごとの線量を評価することにつながる表面での吸収線量と体内での吸収線量の相関を明らかにしたことは重要なデータ表示となった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目として、特注のファントムを用いた線量測定が進みファントム内部でのCTDIvolとファントム表面での相互比較ができたことは有意義な成果が得られたことになる。予算執行の面では、ファントム固定具を購入することができ、それによって測定精度が向上したことが有効な執行であった。
進捗状況がやや遅れている要因として、周辺臓器の組織吸収線量を算出できていないことがあげられる。そして、予定通り算出できたならば、周辺臓器ごとに組織加重係数を乗じて人体全体の実効線量が求められていたはずである。これが実施できなかった原因の一つは、表面での測定に用いた電離箱線量計および半導体検出器が方向依存性などがあるためCTスキャンの照射野外での測定に適していないことである。この改善のためには小型かつ方向依存性の少ないOSL線量計またはガラス線量計を用いることが考えられ、次年度の予算内で購入し測定に用いることが必要となっている。
その他、やや遅れていることとして、予定していた学会発表が出来なかったことも挙げられる。特に3月に行われる予定であったヨーロッパ放射線学会への参加が叶わなかったことは、医療被ばくに大きな関心を持っているヨーロッパや北欧の各国に対して研究成果を示せない結果になった。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、本年度実施できなかった人体ファントムを用いた線量測定から周辺臓器の組織吸収線量を算出することが第一課題である。そして、それを用いて人体全体の実効線量を求めることも必務である。このためには、京都科学株式会社から人体ファントムの借用スケジュールを取ることが必要であるが、担当者とのやり取りは可能であるため早々の予定を立てたいと考えている。この測定に用いるOSL線量計またはガラス線量計の購入計画を立てる。2022年度では「光刺激ルミネセンス線量計による体表面での実測」を行う予定である。具体的には長瀬ランダウア株式会社製の光刺激ルミネセンス線量計（Nono-Dot線量計）または千代田テクノル株式会社のガラス線量計を人体ファントムの表面に設置し、電離箱で測定した条件で照射してえられる実効線量との相関を得る。そして、X線CT検査時に装置に表示されるCTDIvolを記録し、実測値との比較を行う。さらに周辺臓器の組織吸収線量と表面で測定したNono-Dot線量計またはガラス線量計の値の相関を調べ、実際の患者においても照射に影響ない小型の線量計を用いて測定することで組織吸収線量および実効線量が評価可能であることを検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も、コロナ感染防止に伴い国際学会開催および学会出張が無くなった。これにより予算確保していた外国旅費と学会参加費の支出がなかった。これに 対しては、2022年度において、国内学会または国際学会への発表と参加旅費に当てる予定である。 また、ファントム表面での線量測定に使用するためにOSL線量計またはガラス線量計を購入数を増やして線量測定の精度を上げることとしている。また、測定時のファントム固定のために使用した固定具の成果が良かったため、ディスポータブルであるユニフレームを再購入し線量評価を実施する予定である。
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