研究課題/領域番号 |
20K08059
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石橋 直也 日本大学, 医学部, 准教授 (40649331)
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研究分担者 |
藤原 恭子 日本大学, 歯学部, 准教授 (40595708)
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん研究開発グループ, 研究員 (60526060)
篠崎 喜脩 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (00766553)
西巻 はるな 日本大学, 医学部, 助手 (00834152)
前林 俊也 日本大学, 医学部, 准教授 (20409006)
前林 亜紀 日本大学, 医学部, 助教 (90451369)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オキソプラチン / PIポリアミド / シスプラチン / UCHL1 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
シスプラチンの類似化合物である白金錯体(Pt)オキソプラチンにPIポリアミド3個を結合させたOxo-Py3の合成に成功した。この新たな化合物Oxo-Py3は滅菌水で容易に溶解した。Oxo-Py3の放射線増感効果の可能性について子宮頸癌細胞HeLaを使用してWST法による細胞生存率の評価およびシスプラチンとの比較を行った。シスプラチンは100mMのNaCl水溶液で溶解させた。DMEM培地を使用し96wellプレートに3000cells/wellで培養した。Oxo-Py3およびシスプラチンの投与量はlog(nM)で評価した。WST法の結果は生存率は濃度依存性に低下し50%阻害濃度IC50は48時間処理でOxo-Py3が2.52μMでシスプラチンが6.82μMであった。この結果からOxo-Py3の抗腫瘍効果が確認されさらにシスプラチンより効果が高い可能性が示唆された。 今後は放射線照射による放射線増感効果の検討およびHIF1αやUCHL1に結合するPIポリアミドを合成しこれにオキソプラチンを結合させる予定である。 低酸素細胞の臨床的意義について放射線治療を行った子宮頸癌患者の治療前の生検検体の病理組織におけるUCHL1免疫染色を行った。UCHL1免疫染色はAnti-PGP9.5抗体を使用し発現量を0,1+ v.s. 2+,3+などで低発現と高発現で分類し放射線治療およびその後の臨床経過についてCTやMRI画像所見も参照し比較した。生存曲線の結果はUCHL1の低発現ほど無病生存率は良好のであった。 今後はUCHL1とKi-67など細胞増殖マーカーの免疫染色との相関および放射線治療効果について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シスプラチンの類似化合物である白金錯体(Pt)オキソプラチンにPIポリアミドを結合させたOxo-Py3の合成を千葉県がんセンター研究所で行っているが新型コロナウイルスの感染症予防の観点から昨年度は研究代表者が千葉県がんセンター研究所に入所することが困難であった。このため研究分担者との放射線照射条件などの検討が十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染症予防の観点から本年度も研究代表者が千葉県がんセンター研究所に頻繁に入所することが困難なことが予想される。このためZoomを用いたweb会議で研究分担者との放射線照射条件などの検討を行っていく方針となった。また今後は化合物の施設間の冷蔵および冷凍郵送を可能とし日本大学医学部および千葉県がんセンター研究所で同時に研究を行える体制を整える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
シスプラチンの類似化合物である白金錯体(Pt)オキソプラチンにPIポリアミド3個を結合させたOxo-Py3の合成に必要な化合物の一部が既存化合物を使用することが可能であったため計画より安価にOxo-Py3の合成に成功した。今後はUCHL1で知られている複数の配列をターゲットにしたOxo-Py3の大量合成に必要な化合物を購入する予定である。また施設間の化合物の冷蔵および冷凍郵送の費用も必要となる。
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