研究課題
コクサッキーウイルスA群6型(CV-A6)の病態変化に関する研究が主に3つの論文で報告されている。そのうち2報はコクサッキーA群ウイルス間の組換えによる病態変化の可能性を主張している。ひとつは、CV-A6の非構造タンパクの組換えによる変化が臨床的表現型と転記に寄与することを報告している(J.G.Virol, 2015)。もう一つは、中国上海で2012年にCV-A6が流行した際のCV-A6をゲノム解析した。組換え型のCV-A6が非組換え型よりも全身性の発疹がみられていた(Scientific Rep. 2015)。日本では2009年からCV-A6がヘルパンギーナから手足口病に、病態変化がみられた。そこで、本年度は、その前後のCV-A6分離株からのゲノムについて構造タンパク領域と非構造タンパク領域の系統樹解析を実施した。その結果、2009年ころを境に、構造タンパク領域でも、非構造タンパク領域においても異なったクラスター(ヘルパンギーナ型と手足口病型と呼称する)に分類されることが示された(JMV, 2016)。現在、解析中で有るが、2003年に分離された1株はヘルパンギーナ型が流行していた時期の分離株であるが、非構造タンパク領域で手足口病型に分類された。この事実は、2003年に病態変化に重要な非構造タンパク領域における変異株が出現していたことを示唆している。非構造タンパクとして2C領域や3Dpol領域が病態変化に関与している可能性が示唆されているので、現在 非構造タンパクでの組換え型に関する解析を継続している。本年度の研究で、ヘルパンギーナから手足口病への病態変化が世界で初めて観察された2008年より5年前に手足口病型の非構造タンパクを持つ株が存在していたことが明らかになった。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの影響により、当初の予定より遅れている。
2021年度の研究によりヘルパンギーナから手足口病への病態変化が世界で初めて観察された2008年より5年前に手足口病型の非構造タンパクを持つ株が存在していたことが明らかになった。多数の日本国内の株に加え、世界の登録配列も解析対象に加え、既に関与が示唆されている3Dpolymerase領域および2B領域を含むCV-A6の非構造タンパク領域の解析を進める予定である。
新型コロナウイルス流行の影響により、(1)現地開催の学会参加が困難であったこと、(2)人件費および謝金を使用した実験が困難となったことによる。未だ新型コロナウイルスが流行しているので、可能な範囲で研究を進め、研究費を使用させていただきたいと考えている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
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