研究課題
1.研究開始当初の背景:自然退縮する神経芽腫NBのマーカーは知られておらず、これを解明することで、無治療可能な腫瘍の判別が可能となり、新たな治療法の開発に繋げられる。2.研究の目的:NB患者血清miRNAに注目し、新たな診断予後マーカーの検索、さらにその機能解析を進めていくことである。3.研究の方法:1)NB患者血清を用いたmiRNAアレイデータの解析:NB患者の初診時血清を用いて、患者リスクとmiRNAアレイを用いた網羅的解析結果を比較し、候補miRNAを絞り込む。2)候補miRNAのバリデーション:神経芽腫細胞株にレチノイン酸を投与することで分化モデルを作成し細胞内および培養上清から抽出したexsosome内miRNAの発現量を確認する。3)神経芽腫細胞株におけるmiRNAの機能解析:神経芽腫細胞株に候補miRNAのmiRNA mimic、miRNA inhibitorを導入、増殖、転移能、分化への影響を確認する。4.研究成果:NB患者血清14検体を用いて、miRNAアレイを用いて解析し、低リスクで優位に発現しているmiRNA候補4種に絞りこんだ。神経芽腫細胞株のレチノイン酸を用いた分化モデルを作成し、候補4種類のmiRNAが分化モデルによって、いずれも上清中に上昇することを確認した。分化モデル上清中のExosome内において候補4種類のmiRNAが上昇しExosome 内に存在することを確認した。さらに神経芽腫細胞株に候補miRNA mimic、miRNA inhibitorを導入し神経芽腫細胞が分化や増殖などの形態変化は見られなかった。分化の指標として、neurofilament heavy chain(NFH)とneurofilament middle chain(NFM)について測定したところ、候補の1つのX-miRNA mimic においてNFHが増加し、X-miRNA inhibitorにおいてNFMが低下し、このX-miRNAは分化誘導に関与している可能性が示唆された。
すべて 2022
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Pediatrics International
巻: 64 ページ: 15159-15166
10.1111/ped.15159