小児循環器の医療現場で遭遇するチアノーゼ性心疾患にはしばしば肺動脈低形成が合併する。肺動脈低形成には有効な治療法がないために手術適応をも左右する予後不良因子である。心臓発生においては分子レベルでの基礎研究が比較的進んでいる一方で、肺血管発生の発生は肺血管細胞の系譜を含めて不明な点が多い。本研究は、小児循環器の臨床で遭遇する二つの疾患、肺高血圧症と単心室を含む先天性複雑性心疾患の疾患原因遺伝子の発現を抑制した肺やマウス個体を、私たちが独自に開発した肺動脈標識技術を用いて観察し、肺動脈発生に関与する知見を得たこと学術的意義がある。
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