研究課題
基盤研究(C)
心臓老化に対して低分子量Gタンパク質の一つRhoAが心保護的に作用していることを、心筋特異的RhoAコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作製して明らかにした。RhoAは心筋細胞内でパーキンの発現を促進し、心筋エネルギー代謝に重要なミトコンドリアの機能維持に関与していた。また、RhoA cKOマウスにアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を使って心筋でのパーキンの発現を補充すると心臓老化を抑制することができた。
生化学、循環器内科
学術的意義として、高齢者で増加している心機能低下、心不全に関する新たな分子メカニズムを解明することができた。心不全は現在でも5年生存率約50%という予後不良の病態であり、本研究の成果は超高齢社会の日本においてこの病態を克服するための治療法開発の基盤として活用できる。例えば、心筋RhoAの発現が低下している心不全患者に対して、AAVを用いて心筋へのRhoAあるいはパーキンの補充療法を開発していくことなどが考えられる。