研究課題/領域番号 |
20K08505
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
徳留 健 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00443474)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 抗癌剤誘発性心筋症 / 心不全 / グレリン / マウス |
研究実績の概要 |
当初の予定に基づき、ドキソルビシン誘発性心筋症モデルに対するグレリンの効果を調べる為、まずはマウスドキソルビシン誘発性心筋症モデルの確立に取り組んだ。13週齢野生型マウス(C57BL/6J)に、生理食塩水に溶解したドキソルビシン5mg/kgを週1回、合計5回投与した(n=20)。対照群には生理食塩水を投与した(n=10)。投与経路は腹腔内注射で、1回投与量は200μlであった。投与終了後、4週間の観察期間をもうけ、その後心エコーにて心機能評価を行った。注射時には毎回体重測定を行った。生理食塩水群では、投与開始時の体重が平均27.02gであり、ドキソルビシン群では平均27.21gであった。投与終了時の体重は、生理食塩水群では平均29.23g、ドキソルビシン群では25.80gであり、やはり有意にドキソルビシン群で体重が軽かった。観察期間終了時の体重は、生理食塩水群では平均31.12g、ドキソルビシン群では25.83gであり、有意にドキソルビシン群で体重が軽かった。投与中および観察期間中に死亡したマウスはいなかった。イソフルラン吸入麻酔下で行った心エコーの結果、左室内径短縮率には二群間で有意差を認めず、左室拡張末期径・左室収縮末期径・左室壁厚にも有意差を認めなかった。既報論文では今回の投与量よりも少ない量で一部のマウスが死亡し、左室機能が低下したといった結果が報告されているが、今回得た結果はそれらと異なるものであった。既報論文との違いの原因は定かではないが、ドキソルビシン投与で確実に体重が減っており、投与手法に問題は無いと考えている。今後投与するドキソルビシンの量を増やし、再度体重測定・心エコーを行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既報論文を参考にマウスにドキソルビシンを投与したが、報告されているような死亡および心機能低下は認めなかった。このため投与量を増やして再度抗癌剤誘発性心筋症モデル確立を試みる必要が生じたため。
|
今後の研究の推進方策 |
投与するドキソルビシンの量を増やし、再度体重測定・心エコーを行う予定である。 心機能低下が観察されれば本実験を開始し、グレリン投与群を設けて、心機能低下が抑制されるか否か検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既報論文を参考にドキソルビシン投与量を決定し、野生型マウスに投与したが、既報のような心機能低下は認めなかった。この為グレリンを用いた実験が行えず、試薬購入費・マウス飼育費が当初の見積もりより少なかった。モデルマウスが確立されれば、繰り越した研究費をグレリン等の消耗品購入やマウス飼育費に使用して研究を遂行する。
|