悪性黒色腫に対しては近年種々の治療選択肢が得られているが、根治に至る症例は決して多くない。したがって、腫瘍が有する既存の治療標的とは異なる分子生物学的な特性を明らかにする必要がある。そこでHedgehogシグナル伝達経路(以下、HHシグナル)に注目し、その活性化を病理組織標本の免疫染色によって示す手段として、転写因子であるGLI1が核内に移行した染色像を得ることができる抗体を基底細胞癌組織を用いた検討で発見した。その抗体を用いて悪性黒色腫の腫瘍180例で検討したところ、30検体(16.7%)で腫瘍細胞のみならず周囲間質においても同シグナルが活性化していることを確認した。
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