本年度はTet-on型のBCL11B発現細胞株を5種作成し、RNAレベルおよびタンパクレベルでの解析を行った。OCI-AML2細胞株とHL60細胞株において、RNA-seqの結果からはテトラサイクリンによるBCL11B発現誘導によりいずれの細胞株においても、JAK/STATパスウェイの1つの分子の発現上昇がみられた。Tet-on型のBCL11B発現細胞株にて同シグナルの活性化を確認したところBCL11Bによりタンパクレベルでも同分子の発現誘導を確認できた。同定した分子の下流因子をウエスタンブロッティングで解析したところリン酸化によるパスウェイの活性化をみとめた。次に薬剤への反応について検討した。まず、BCL11B発現前後での細胞増殖については軽度の増殖抑制を認めた。薬剤についてはAMLで代表的に使用されるBCL2阻害剤を用いてBCL11B誘導前後でWST8アッセイを行い、BCL11Bの薬剤感受性への影響を解析した。さらに、アザシチジン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、ネララビン、アドリアマイシン等の薬剤についてもWST8アッセイを行った。また、JAK/STAT阻害剤についてもBCL11B誘導下で感受性の変化があるかどうかをannexin-V・7AAD染色によるフローサイトメトリーで評価した。BCL2などアポトーシス関連タンパク、NFKB関連タンパクについてウエスタンブロッティングを行い、特定のシグナル活性化がBCL11B発現前後でみられるかどうかを新たに作成した複数の細胞株で検討した。
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