研究課題
今年度は先ず、pubMLSTデータベースを基にペニシリン(PEN)非感性株(中間耐性と耐性)が有するPEN結合蛋白2遺伝子(penA)プロファイルを解析した。PEN非感性株(MIC > 0.25 mg/L)でpenAが同定済み132株において、37種のアレルパターンが同定され、それらは大きく3クレードに分類されることを見出した。また本研究で同定したPEN耐性株(4株)はpenA9およびpenA33に属したのに対し(前年度に報告済)、PEN中間耐性株(37株)ではpenA22(29株)が最も多く、次いでpenA1(6株)に属した。一部のPenAではA510V、I515V H541N、I556Vなど、PEN耐性化と関わる既知アミノ酸置換を有することも確認された。一方、海外で注視されるROB-1ペニシリナーゼ産生株は確認できなかった。以上の成果はMicrobiology Spectrum誌に投稿後、受理された。一方、前年度までにシプロフロキサシン(CIP)耐性化がGyrAのT91Iアミノ酸置換に関わることを本課題使用菌株でも確認できたため、その簡便識別法の構築を試みた。サンガーシーケンスを利用しないPCR-RFLP検出系を開発し、その成果がFrontiers in Cellular and Infection Microbiology誌に受理された。
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定した研究をほぼ全て終了し、その成果が英文論文として受理されたのに加え、本研究の過程で同定されたCIP耐性株の簡易検出系に関わる英文論文も受理されたため。
本研究課題を更に発展させるため、国内で流行するPEN・CIP同時耐性株が莢膜非産生であることに着目し、それらの迅速識別が可能な血清型別測定系の構築を進める。また国内外の学会において研究成果を広く周知する。
初年度の菌株同定や薬剤感受性試験の経費と前年度の全ゲノム解析経費が当初の見込みよりも低く抑えられたため。しかし、それらは今後の追加研究や国際学会出張等の経費として適切に執行していく予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件)
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