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2022 年度 実施状況報告書

成熟膵β細胞特異的な遺伝子発現抑制の破綻が糖代謝に与える影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K08915
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

西村 渉  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00334433)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード発生・分化 / 遺伝子 / 糖尿病 / 発現制御 / 膵β細胞 / インスリン / 脱分化 / 成熟分化
研究実績の概要

全世界の糖尿病罹患者は2021年で5億3700万人と推計されている。インスリンを分泌する膵β細胞の障害は、糖尿病の原因となる。我々はこれまでに、膵β細胞の発生・分化・機能における転写因子の機能を、個体レベルで解析してきた。その結果、それら特定の転写因子の発現低下により膵β細胞が脱分化すること、その脱分化が膵β細胞障害と耐糖能異常の原因となることを、細胞系譜追跡実験などにより明らかにした。脱分化膵β細胞では、通常の膵β細胞で発現が抑制されている分子の発現増強が認められる。そこで本研究では、成熟膵β細胞に特異的な遺伝子発現抑制メカニズムを解析し、それら遺伝子群が、糖尿病における膵β細胞障害にどのように関与するのかを明らかにすることを目的として、研究を進めている。
本年度は、昨年度までに同定された、成熟膵β細胞で発現が抑制され、糖尿病の膵島で発現が増強する遺伝子(以下、標的遺伝子)と、その発現を制御する転写因子群の機能について、引き続き解析した。具体的には、糖尿病モデルマウスや高脂肪食給餌マウスと、それらの対照マウスの膵島における、標的遺伝子や転写因子群の発現を解析した。また、in vitroあるいはin situにおける転写因子群の過剰発現が、標的遺伝子の発現に与える影響を解析した。これら解析の結果、糖尿病状態の膵β細胞においては、これら遺伝子の発現増強が誘因となって、膵β細胞障害が引き起こされる分子メカニズムが明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

過去にCOVID-19の影響で研究活動が制限されたが、現在は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究の結果、糖尿病状態において、同定された遺伝子の発現増強が膵β細胞障害を引き起こす新たな分子メカニズムが明らかになりつつあり、臨床応用に向けての発展が期待される。そこで、この膵β細胞の障害過程をin vitroで再構築し、そのメカニズムの詳細を分子レベルで明らかにしていく予定であった。しかしながら、その実験系の確立と妥当性の確認に想定以上の時間を要したため、科学研究費助成事業の補助事業期間を延長して頂き、引き続き研究を推進する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究では、期間中にCOVID-19の影響で研究活動が制限され、予定されていた一部の実験が行えなかったため、次年度使用が生じた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] モンゴル国立医科学大学(モンゴル)

    • 国名
      モンゴル
    • 外国機関名
      モンゴル国立医科学大学
  • [雑誌論文] Role of the Transcription Factor MAFA in the Maintenance of Pancreatic β-Cells.2022

    • 著者名/発表者名
      Nishimura W, Iwasa H, Tumurkhuu M.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci

      巻: 23(9) ページ: 4478

    • DOI

      10.3390/ijms23094478

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 膵島内における成熟膵β細胞のサブタイプとその局在の解析.2022

    • 著者名/発表者名
      岩佐宏晃, 前田健吾, 堀岡希衣, 三宅克也, 松本征仁, 安田和基, 西村 渉.
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会.
  • [学会発表] 膵β細胞の恒常性維持に重要な転写因子の機能解析.2022

    • 著者名/発表者名
      西村 渉, 岩佐宏晃.
    • 学会等名
      第12回国際医療福祉大学学会学術大会.
  • [学会発表] 遺伝子改変マウスのgenotypingにおけるHotSHOT法の有用性の検討.2022

    • 著者名/発表者名
      西村 渉, 岩澤果穂, 長谷川玲子, 岩佐宏晃.
    • 学会等名
      第12回国際医療福祉大学学会学術大会.
  • [備考] Researchmap マイポータル(西村渉)

    • URL

      https://researchmap.jp/nishimuraw

  • [備考] 国際医療福祉大学医学部 分子生物学ホームページ

    • URL

      https://www.iuhw.org.

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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