研究課題/領域番号 |
20K09057
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安井 隆晴 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60611283)
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研究分担者 |
木庭 遼 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10866776)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
坂井 寛 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80611665)
冨永 洋平 宮崎大学, 医学部, 講師 (90304823)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌自然発生マウス / 4色発現マウス / 膵癌 / 微小環境 / 微小転移 |
研究実績の概要 |
当研究室は、原発巣の膵癌細胞にrandomにmulticolorに発色する蛍光蛋白質遺伝子かを導入した独自の膵癌自然発生マウス(KPC confettiマウス)の作製を進めている。本研究ではKPC Confettiマウスの微小転移巣の解析に基づき、膵癌の臓器特異的な極早期の転移機序を周囲微小環境の役割も含めて解析し、その機序を明らかにすることを研究の目的としている。 まず、研究計画の【1】の段階で必要となるKPC Confettiマウスのシステム構築として、膵腫瘍組織中にmulticolorに蛍光発色する癌細胞が認められるかをex vivoもしくは薄切標本にて共焦点顕微鏡を用い確認する。現在、KPC Confettiマウスの膵原発腫瘍による膵癌細胞の樹立および、KPC Confettiマウス組織の検討・蓄積を行なっている段階である。 ヒト膵癌と病理学的類似性が高い腫瘍の極早期の微小転移を単細胞レベルで同定・解析できるKPC Confettiマウスモデルは今までになく、学術的創造性・独自性は非常に高いと考えられるが、現段階として、KPC Confettiマウスの膵原発腫瘍においては、multicolorに蛍光発色する癌細胞を同定しているが、微小転移巣でのmulticolor膵癌細胞の同定に難渋している。 我々の研究室では貴重なヒトおよびKPCマウスの膵癌肝転移切除組織を保管しており、転移巣形成までの過程を解析することが可能である。今後、膵原発巣および微小転移巣から樹立した膵癌細胞を用いて、研究計画【3】の段階である血管内侵入や血管外遊走能の評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KPC confettiマウスの作製は終了しているが、微小転移巣においては、multicolorに蛍光発色する癌細胞の同定にはまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
検体数を十分に確保し、膵原発腫瘍および微小転移巣において、multicolorに発色する膵癌細胞の分布やheterogeneityを共焦点顕微鏡により確認する。レーザーマイクロダイセクションやSotingにて膵原発腫瘍や微小転移巣から癌細胞を単離後、遺伝子発現の差異をマイクロアレイやRNAseqにより網羅的に解析する。 微小転移巣においてmulticolorな蛍光発色が確認できない場合は、targeted single-cell RNA sequence解析の技術を用いて、微小転移を単細胞レベルで同定・解析することを検討する。当研究室ではすでに、bulk組織を用いたsingle cell transcriptome解析を行っており、single cell解析を行う工程は習熟している。
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次年度使用額が生じた理由 |
微小転移巣において、multicolorに蛍光発色する癌細胞の同定にはまだ至っておらず、研究計画に遅れを生じているため。 次年度は研究用試薬、器材、抗体、マウス費などに使用する予定である。
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