近年開発・実用化されてきた神経活動依存的特異的分子発現法を駆使し、痛みによって活性化するニューロン・シナプス伝達(これらを「痛み活性化ニューロン」、「痛み特異的シナプス」、と呼ぶ)のみを抽出し、解析することで、神経核同士の結合をまとめて解析する従来の手法では見出しえなかった機能特異的シナプス結合の特徴を明らかにしたことは学術的に新規性が高く、意義がある。また、近年提唱された、痛覚変調性疼痛の背景に、本研究で明らかにしたような痛み特異的シナプス伝達の可塑的変化が関与する可能性が示唆され、さらにメカニズム解明を継続することで中枢性の痛みの治療法開発に大きく寄与する知見が得られることが期待される。
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