研究実績の概要 |
令和2年度は、健常人ボランティア10名より採血した検体に、活性化第X因子の阻害薬であるアピキサバン、リバロキサバン、エドキサバンについて、0, 25, 50, 100, 200, 400 ng/mLに濃度を調整して添加した人為検体に対して、誘電コアグロメーターにおける組織因子を作用させる外因系評価用測定カートリッジによる評価を行った。この系において、交流1MHz下で測定した誘電率は血液凝固反応の進行とともに上昇するが、血球成分の変形を反映して減少に転ずることがわかっているが、最初に増加から減少に転ずるまでにかかる時間を凝固時間として定義した。 今回の検討では、この凝固時間が上記直接経口抗凝固薬(DOAC)混合時に濃度依存性に延長すること、人為検体におけるトロンビン生成のピークの減高に依存して1MHz下で測定した凝固時間が延長することが明らかになった。アピキサバン、リバロキサバン、エドキサバンそれぞれにおいて、トロンビン生成のピークと1MHz下で測定した凝固時間の関係を示したグラフは、両対数グラフにおいて、直線的な関係性を示し、3種類の経口抗凝固薬において、グラフが重なる傾向が示された。 それぞれの濃度設定において、凝固時間にばらつきがあるという課題も示されたが、誘電コアグロメーターを用いて測定した凝固時間が、これらの経口抗凝固薬によるトロンビン生成の低下を反映する指標と指定使用できる可能性が示唆された。
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