研究実績の概要 |
本研究はラットの虚血再潅流モデルを用いて脱分化関連遺伝子CITED1がどのように関与しているかを明確にし、新規分子マーカーや新規遺伝子治療となり得るか検討することである。最終的には臨床的応用を目指すものであり、災害時や高エネルギー体幹部外傷や出血性ショックに対する緊急手術の術後合併症として急性腎障害の治療に寄与できると考えている。 しかし、2020年2月から始まった新型コロナウイルスの感染拡大による臨床業務の増大により基礎研究の計画は遅延した。 一方で臨床的側面からのアプローチによる検討はいくつかの実績を得ることができた。具体的には、第48回日本救急医学会総会・学術集会にて「病院前収縮期血圧と乳酸値は外傷後の急性腎障害(AKI)の予測因子となり得る:前向き検証研究」と題し研究発表を行ない、これは最優秀演題賞を受賞した。 さらに、これらの研究成果を英文誌に投稿し、Prehospital blood pressure and lactate are early predictors of acute kidney injury after trauma. (J Surg Res. 265:180-186, 2021)および Prediction of early acute kidney injury after trauma using prehospital systolic blood pressure and lactate levels: A prospective validation study.(Injury 53:81-85, 2022)として採択された。 最終的には分子生物学的アプローチと、臨床的アプローチによる新規分子マーカーの発見や新規遺伝子治療法の確立には至らなかったが、一定の成果を挙げることができた。
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