早期癌切除後患者の数年間の経過観察のうちにしばしば転移性骨腫瘍は発生する。臨床におけるこのような現象、つまり原発巣と転移巣発生の時間的な隔たりは転移性潜伏期と呼ばれる。潜伏期腫瘍細胞の制御因子はこれまで不明であり、治療薬開発には至っていない。 我々は骨内非増殖期を有するマウスモデルを確立、潜伏期細胞株と早期癌切除検体の網羅的遺伝子解析を組み合わせた分子生物学的解析を行うことで、骨内潜伏期腫瘍細胞の制御因子の同定を行った。 制御因子のノックダウン細胞およびその関連経路に基づく新規骨転移予防薬を用いて転移性骨腫瘍の抑制、さらには原発巣検体において同定因子が予後不良因子であることを証明した。
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