本研究ではマウスの大腿部の皮膚を筋膜まで切開するモデルマウスを用いて軟部組織損傷により疼痛を誘発する環境が骨代謝に及ぼす影響を検討した。切開した患側は健側と比較して有意に疼痛行動の誘発を認め、損傷後1,5,7日では骨代謝マーカーの有意な発現増強をみとめた。創治癒を認めた14日では健側と有意差を認めなかった。骨吸収抑制薬やCox2抑制薬を用いた検討では2つの薬物それぞれが疼痛行動を部分的に改善したが、Cox2抑制薬には骨代謝マーカーの発現抑制効果はなかった。更に2つの薬物を同時に投与すると疼痛行動は著明に抑制された。このことは疼痛を誘発する組織環境が骨代謝亢進を誘発することを示した結果と考える。
|