研究課題/領域番号 |
20K09588
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
近藤 幸尋 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80215467)
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研究分担者 |
木村 剛 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20234354)
大林 康太郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (30857579)
鈴木 康友 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90297911)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 腎細胞癌 / 循環腫瘍細胞 / 新規流体チップ |
研究実績の概要 |
我々は前立腺癌細胞株(PC3とLNCaP)における抗原発現の確認と細胞捕捉実験の後、未治療転移性前立腺癌患者より末梢血2mLを採取し、輸液ポンプで陰圧をかけながら、捕捉抗体であるEpCAM (Epithelial Cell Adhesion Molecule)抗体をコーティングしたchip内を通過させ、1時間程でCTCsを捕捉に成功した。捕捉されたCTCsはPE-Anti EpCAMやDAPI (4’, 6-diamidino-2-phenylindole)、FITC-Anti CK (Cytokeratin )8、CK9、CK18、APC-CD45などの各種蛍光免疫染色を施した後、蛍光顕微鏡で観察、同定、計測を行った。本実験は病院内倫理委員会の審査を通しており、全患者には十分な口頭と書面による内容説明を行い、了承が得られた上で行われた。 培養した前立腺癌細胞株(PC3とLNCaP)のEpCAMやCK18などの抗原発現を蛍光免疫染色で確認後、血液の代用としてPBS (リン酸緩衝生理食塩水:Phosphate Buffered Saline)約2mLに培養した前立腺癌細胞を混濁させて捕捉を試み、PC3で94.6%、LNCaPで82,73%と高い平均捕捉率を既に確認した。健常者から末梢全血2mLを採取し、培養した前立腺癌細胞を混濁させて同様の方法で捕捉を試み、PC3で83.82%、LNCaPで75.78%以上の平均捕捉率を確認。前立腺癌細胞株で高い捕捉率が実証されたため、未治療転移性進行前立腺癌患者から末梢全血を2mL採取し、同様の方法でCTCsを捕捉、観察を開始している。少数であるも全例でCTCsを確認することができ、平均捕捉細胞数は48(1~81個/mL)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において、コロナ禍のために臨床検体の収集が遅れているためやや研究全体の遅れを見ている。2021年度には、腎細胞癌を含めた検討に入っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前立腺癌:既に前立腺癌において基礎的検討は終了しており、未治療のハイステージの前立腺癌症例のCTCs捕捉に成功している。よって2021年を中心にステージごとの症例においてCTCsの捕捉を行い、ステージよるCTCsが腫瘍マーカーと成りうるのかを検討する。また去勢抵抗性前立腺癌においてはPSAが腫瘍マーカーとならない例もあり、CTCsとPSAの関連に関しても検討する。以上に加えて効果判定因子としても検討を各ステージで検討する。 腎細胞癌:まず腎細胞癌に関して細胞株(Caki-1およびACHN)を用いて癌細胞膜抗原発現の検討を行う。EpCAMやビメンチンなどの捕捉抗体をコーティングしたチップにPBSに懸濁した各種腫瘍細胞を通過させ、1時間程度でCTCsの捕捉を行う。捕捉されたCTCsはPE-Anti EpCAMやDAPI (4’, 6-diamidino-2-phenylindole)、FITC-Anti CK (Cytokeratin )8、CK9、CK18、APC-CD45などの各種蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡で同定及び計測を行う。ここでは条件検討のため抗体の濃度やchip内通過時間を変えて検討する。次に血液に懸濁した状態の腎細胞癌株(Caki-1とACHN)に対して捕捉抗体でコーティングしたchip内を通過させ、1時間程でCTCsの捕捉を行う。捕捉されたCTCsはPE-Anti EpCAMやDAPI (4’, 6-diamidino-2-phenylindole)、FITC-Anti CK (Cytokeratin )8、CK9、CK18、APC-CD45などの各種蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡で同定及び計測を行う。同様に条件検討のため抗体の濃度やchip内通過時間を変えて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品を購入し実験を始めるところでコロナ禍となり、研究が一時止まってしまった。次年度は本年度の遅れを取り戻すべく実験を計画している。
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