研究課題/領域番号 |
20K09588
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
近藤 幸尋 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80215467)
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研究分担者 |
木村 剛 日本医科大学, 医学部, 教授 (20234354)
大林 康太郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (30857579)
鈴木 康友 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90297911)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 新規流体チップデバイス / 循環腫瘍細胞 / 前立腺がん / 尿路上皮癌 |
研究実績の概要 |
昨年度まで、新規流体チップデバイスを用いて循環腫瘍細胞を捕捉することが各がん種で確認されていた。そこでまず前立腺がんにおける臨床上のPSAの値と循環腫瘍細胞数の相関関係を検討するために臨床における患者さんのPSAの値が20以下、50以下、100以下、100以上の4群に分けて検討を行った。本実験は病院内倫理委員会の審査を通しており、全患者には十分な口頭と書面による内容説明を行い、了承が得られた上で行われた。PSA100以上に関しては100%の循環腫瘍細胞の捕捉が可能であった。100以下では60%であり、50以下でも40%の捕捉率であった。20以下では認められなかった。尿路上皮癌においては血中シフラを外部委託で測定し、2以下、5以下、10以下、10以上の4群に分けて行った。10以上では100%、10以下では70%、5以下では50%、2以下では0%の捕捉率であった。以上より転移の有無にかかわらず循環腫瘍細胞と臨床上の癌の進行とは相関を認めた。 次にこの捕捉したがん細胞の解析が可能かを検討した。臨床上で捕捉している腫瘍数は、2~30個の腫瘍細胞であり、この数で遺伝子解析が可能かを検討した。あらかじめ細胞培養の前立腺がん細胞であるDu145を新規流体チップデバイスに2~5、11~20、21~30個の細胞を捕捉させ、それらをデバイスから遊離して遺伝子解析を行った。11以上の細胞でPCR解析は可能であった。以上より、11個以上の遊離腫瘍細胞を得られれば遺伝子解析が可能であることが示唆された。以上によりこの新規流体チップデバイスを用いた、遊離腫瘍細胞を捕捉し、遺伝子解析を行うことにより、オーダーメイド医療が可能になる可能性が示唆された。
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