研究課題/領域番号 |
20K09642
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40220397)
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研究分担者 |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
笹川 勇樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40815304)
出口 雅士 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (50403291)
谷村 憲司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80593988)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不育症 / ネオ・セルフ抗体 / 抗リン脂質抗体症候群 / 不妊症 / 妊娠高血圧症候群 |
研究実績の概要 |
本研究では、① 妊娠合併症動物モデルを作成し、aβ2GPI/HLA-DR7(ネオ・セルフ抗体)が妊娠合併症の病態を惹起する機構を病理組織学、分子生物学や免疫学的手法を用いて解明する。動物モデルを用いて種々の薬物療法を試行し、ネオ・セルフ抗体による妊娠合併症を抑制ないし改善できるかを調べ、有用な治療レジメン候補を探索する。② 前方視的研究として、妊娠合併症(習慣流産、IUFD、HDP、FGR、34週未満早産)や血栓症の既往や現症を有する女性に対して、同意を得てネオ・セルフ抗体を測定する。妊娠合併症の原因や重症度と抗体価との関係を明らかにする。観察研究として、ネオ・セルフ抗体陽性の妊娠合併症既往の女性においては、次回妊娠で、無治療、低用量アスピリン(LDA)単独療法、LDA+ヘパリン療法の生児獲得率を比較し、治療効果を調べる。 ②については、不育症女性227人中、52人(22.9%)が、ネオ・セルフ抗体陽性であった。不育症の原因/リスク因子が不明の121人中24人(19.8%)で、またAPS症状があるが基準aPLが陰性の114人中22人(19.3%)において、ネオ・セルフ抗体が陽性であることが初めて明らかにした。ネオ・セルフ抗体が不育症の新たな原因である可能性を示した(Arthritis & Rheumatology, 2020)。また、FGRの19%、HDPの14%、34週以前早産の8%、不妊症の12%でネオ・セルフ抗体が陽性であった。不妊症では、続発性不妊、不育症合併、ART反復不成功や子宮・卵管リスク因子との関係が示唆された。これまで抗体陽性の不育症で治療した18人では、LDAやLDA+ヘパリン治療によって、健児を得ている。前向きコホート研究や介入研究の臨床試験の進展によって、因果関係の決定と治療方法の確立が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で研究が予定通りは進まなかった。特に、動物実験には制限がかかり、予定した実験ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
人を対象とした前向きコホート研究、症例対照研究、治療効果の観察研究は順調に進んでおり、症例数を増やしてさらに成果をあげることを目標とする。新型コロナウイルス感染症の影響が収まり次第、予定した動物実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で研究が予定通りは進まなかった。特に、動物実験には制限がかかり、予定した実験ができなかった。 人を対象とした前向きコホート研究、症例対照研究、治療効果の観察研究は順調に進んでおり、症例数を増やしてさらに成果をあげることを目標とする。新型コロナウイルス感染症の影響が収まり次第、予定した動物実験を開始する。
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