脂質異常症治療薬スタチンを卵巣癌の治療薬として応用するべく、臨床導入を見据えた基礎的研究を行なった。スタチンは既存卵巣癌細胞株において細胞増殖抑制効果を示し, 特に漿液性癌と明細胞癌細胞株でスタチンが奏効していた。また、マイクロアレイ解析をかけて遺伝子発現とスタチン投与による細胞生存率からピアソンの積率相関係数を算出し、VDAC1 および LDLRAP1遺伝子発現がスタチン奏効の予測マーカーとなることを明らかとした。さらに、臨床検体でのスタチン奏効を増殖抑制率より検討すると、特に漿液性癌と明細胞癌症例に奏効しており、卵巣癌標準治療薬剤と比較しても同等の増殖抑制率を示している症例も認めた。
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