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2021 年度 実施状況報告書

HPVワクチンの有効性:ブレイクスルー症例の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K09677
研究機関昭和大学

研究代表者

小貫 麻美子  昭和大学, 医学部, 講師 (20573744)

研究分担者 松本 光司  昭和大学, 医学部, 教授 (30302714)
柊元 巌  国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (70291127)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒトパピローマウイルス
研究実績の概要

子宮頸癌ワクチンは有効性が広く証明されているが,定期接種プログラムの定める適切な年齢(12-16歳)でワクチン接種を受けた若年女性のなかにも本来ワクチンで予防されるはずのヒトパピローマウイルス(HPV)16/18に感染し前癌病変・子宮頸癌を生じる"ブレイクスルー症例"が存在する.本研究の目的は1) ブレイクスルー症例を対象に初交年齢・ワクチン接種年齢を聴取することで接種時に既感染が疑われる患者の割合を推定する2) 初交前に適切にワクチン接種を行っていた症例ではHPVゲノム解析中和活性測定を行い,現行のワクチンでは予防できない変異ウイルス(variant) を探索することである.今年度もブレイクスルー症例を集積した.またワクチン接種年齢や初交年齢によるHPV16/18陽性率が変わるかを検討したところ初交前接種では0% であるのに対して、初交後3年以内では12.5% ,初交後4年目以降の接種では40.0%であり、ワクチン未接種者での47.0% と大差がないことが判明した.MINTスタディで得られたアンケート調査によると,CIN2-3/AIS(高度前癌病変)患者の初交年齢の中央値は17歳であり、14歳以下での性交経験率は9.2%、16歳では47.2%、18歳では77.1%となり、15歳以降で急激に上昇した.接種年齢別の効果について検討したところ,高度前癌病変におけるHPV16/18陽性率は12-15歳での接種では0%,16-18歳での接種で13.0%, 19-22歳での接種では35.7%,23歳以上の接種では39.6% (n=91) となり、接種年齢が上がるとHPVワクチンの効果がかなり低くなることがわかった 。この成果を日本産科婦人科学会学術講演会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は日本医療研究開発機構(AMED) 感染症実用化事業としてHPVワクチンの有効性を検証する疫学研究「思春期女性へのHPVワクチン公費助成開始後における子宮頸癌のHPV16/18陽性割合の推移に関する疫学研究」(MINTスタディII) (研究代表者:松本光司, 研究事務局:小貫麻美子)で登録された症例の中からブレイクスルー症例を抽出し、詳細に解析するという研究デザインである。しかし、2022年3月でAMED研究の期限が切れ、現在継続に向けて審査中であるため、一旦症例登録が中断されている状況である。今後AMEDの審査を通過し、MINTスタディIIが再開されれば再度登録可能となることが期待される。もし、AMEDの審査を通過しなかった場合は、単独施設での症例集積を行うことを検討する。

今後の研究の推進方策

上述の通り、AMEDの審査によりMINTスタディIIが再開されれば全体で年間1000症例の集積が可能な研究であり、その中からワクチン接種者を抽出することは可能である。しかし、AMEDの審査を通過しなかった場合は単独施設での症例集積を行う。本年4月からHPVワクチンの積極的な定期接種が再開されるため、ワクチン接種後の子宮頸部病変患者自体も増える可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

ブレイクスルー症例で、HPV DNAのシークエンス解析に至ることを想定した予算を組んでいたが、今年度に対象となる症例がなかったことと、国際学会での発表がCOVID-19の影響で十分にできなかったことから余剰金が生じた。
2022年度には検体採取用の容器などの物品が不足してきたため、これらに費やす必要がある。また研究成果について発表する機会が増えてきたことからこちらに費用を要する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Ancient Evolutionary History of Human Papillomavirus Type 16, 18 and 58 Variants Prevalent Exclusively in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Kohsei、Kogure Gota、Onuki Mamiko、Matsumoto Koji、Iwata Takashi、Aoki Daisuke、Kukimoto Iwao
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 14 ページ: 464~464

    • DOI

      10.3390/v14030464

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in HPV16/18 Prevalence among Unvaccinated Women with Cervical Intraepithelial Neoplasia in Japan: Assessment of Herd Effects following the HPV Vaccination Program2022

    • 著者名/発表者名
      Onuki Mamiko、Kukimoto Iwao、Yoshikawa Hiroyuki、Yaegashi Nobuo、Matsumoto Koji、for the MINT Study Group
    • 雑誌名

      Vaccines

      巻: 10 ページ: 188~188

    • DOI

      10.3390/vaccines10020188

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] HPVタイピング・ウイルスゲノム解析によるCIN進展リスク評価と我が国における9価ワクチンの効果予測2021

    • 著者名/発表者名
      小貫麻美子
    • 学会等名
      第73回日本産科婦人科学会学術講演会
  • [学会発表] Whole-genome analysis of possibly carcinogenic HPV67 isolated from Japanese women WITH CERVICAL CANCER/PRECANCER2021

    • 著者名/発表者名
      Gota Kogure, Mamiko Onuki, Takashi Iwata, Koji Matsumoto, Iwao Kukimoto
    • 学会等名
      34th International Papillomavirus Conference - IPVC 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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