研究成果の概要 |
糖尿病性潰瘍などの虚血性疾患に対する血管新生再生医療を目指して基礎研究を行なった。ヒト脂肪組織常在性微小血管内皮前駆細胞(Adipose-resident microvascular endothelial progenitor cell; AEPC)の調製法確立と特性解析(Saito N., et al., Scientific Reports, 12(1):1775 2022)、及び放射線障害潰瘍マウスモデルに対するAEPC投与による創傷治癒能の改善効果(Mori M., et al., Plastic and Reconstructive Surgery, accepted)を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糖尿病性下肢病変は、糖尿病合併症の一つで、神経障害と抹消血流障害が生じ、重症化すると皮膚潰瘍や組織壊死を起こして切断に至ることも多い。糖尿病患者は世界的に増加しており、厚生労働省の「H28年国民健康・栄養調査」によると我が国の糖尿病有病者数は1,000万人に上る。うち足潰瘍の発症率は約0.3%で、年間8,000例以上の足・下肢切断が行われている。従って、糖尿病性下肢病変を根本的に治療する方法の開発は、今後予想される患者数の増加と医療費の削減といった観点から、社会的要請の高い課題である。本研究では、糖尿病性潰瘍の新たな治療ツールとなりうるAPECの調製法の確立、治療効果の検証を実施した。
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