研究課題
歯科インプラント治療は、インプラント顎骨に埋入後、咬合機能をできるまでには骨にインプラント体が固定される必要がある。その固定としてオッセオインテグレーションを早期に実現するための手法が数多く検討されてきた。一方で、機能しているインプラント体の周囲では骨ばかりでなく上皮組織と強固の接着を行うことで細菌感染によるダウングロースを予防する必要がある。本研究では生物学的封鎖を試みるための方法を検討し、最終的に組織適合性に優れるインプラント体の開発を目指している。本研究では、骨形成の促進と骨吸収の抑制、上皮組織との接着改善を目的としたスタチン系薬剤として水溶性のフルバスタチンをチタン表面に固定する方法の検討を進めていた。昨年度の過酸化水素と水酸化ナトリウムで処理したチタン及びチタン合金表面の分析を行った。そのゼラチン/スタチン複合体を固定する前の表面化学状態をX線回折、X線光電子分光分析(XPS)および電子線マイクロアナライザーで分析した。特にXPS分析した結果、処理時間が短時間では複合体を固定するための水酸基の増加は認められなかったが、3時間以降に水酸基の増加が認められた。したがってこれまで1日要していた処理時間が最短で3時間での処理によってゼラチン/スタチン複合体を固定するために必要な水酸基を形成させることができることが明らかになった。この事実に基づいて、スタチン系薬剤の徐放と動物実験を進める予定である。
4: 遅れている
チタンの表面処理の条件は整っていたが、思いのほか短時間での処理によって期待できる成果が得られることが明らかになったため条件の見直しを余儀なくされた。また、2022年前半までCOVID-19の影響で装置の使用にも規制が掛かったため研究遂行が遅延した。
現在表面分析まで終わっているが動物に埋入するためのインプラント体モデルの設計の見直しを行っている。早期に埋入して動物実験での効果を確認する予定である。
国際会議への発表ができなかったため。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 4件)
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