研究課題/領域番号 |
20K10070
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瑞森 崇弘 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10200023)
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研究分担者 |
原木 真吾 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (70845982)
矢谷 博文 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (80174530)
石垣 尚一 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (40212865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブラキシズム / 睡眠 / 心拍亢進検出 / 予防 / 治療 |
研究実績の概要 |
国民の歯科衛生知識の向上や健康推進キャンペーンにより,カリエスや歯周疾患による抜歯は減少しましたが,歯根破折が原因の抜歯が増加しています. Axelssonらは257名の患者の30年間にわたるメインテナンスを通じて全抜歯歯数173歯のうち,歯根破折によるものが108歯(62. 4%)と抜歯の主原因であっ たと報告しています.また,須田は歯根破折は予防も破折歯の保存も容易ではないことから,歯科の今日的・将来的な重要課題であるとしています. 睡眠中に無意識下に行われる歯ぎしりやくいしばり(以下,睡眠時ブラキシズム)は意識的な咬合力の制御がないため,日中には生じない異常に大きな咬合力 が発生します.そして,その騒音が同室者の睡眠障害の原因になるだけでなく,異常な咬耗・歯質破折による歯の機能低下や詰め物,かぶせ物や入れ歯のような歯科補綴装置の頻繁な脱離・破損,さらには歯根破折による抜歯や,咀嚼筋の疲労・疼痛を始めとする顎機能障害の重要な原因の一つとなります.しかしながら,根本的な治療法は存在せず,対症療法的なものがほとんどで,有効な対策の開発が求められています. 本研究では睡眠時ブラキシズム発生に先行して生じることが知られている心拍数の亢進から発生の前兆を検知し,発生を抑制する装置を製作します.心拍亢進をもとにする装置は世界でも類例をみず,睡眠時ブラキシズムの画期的な治療法となるものです. 令和2年度に心拍亢進検出装置を製作し,令和3年度は検出結果の精度確認ソフトウェア作成と抑制刺激発生装置を製作する予定でしたが,納品前の動作確認で問題が生じ,その対策のため納品が令和4年度に延期になりました. これに伴って,心拍亢進検出と抑制刺激発生を個別の装置で行うのではなく,単一の装置で心拍亢進検出と抑制刺激発生の両方を行うことにする予定です.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心拍亢進検出装置と抑制刺激発生装置間の無線通信に関する問題(抑制装置発生装置として使用予定のスマートウォッチの静止状態が30分継続すると非装着状態と判断され,無線接続が切断,刺激発生が行われなくなる)が生じ,この対策が必要になりました. このため,令和3年度に予定されていた納品が令和4年度に延期になりました.そして,無線接続の問題を解消するため,心拍亢進検出と抑制刺激発生で装置を分けるのではなく,一体型の装置として再検討することになりました.
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今後の研究の推進方策 |
臨床応用可能な睡眠時ブラキシズム抑制システムの試作品として開発した心拍亢進検出・抑制刺激発生システムを用いてデータ収集を行い,検出結果の精度確認と,抑制刺激の効果確認を行います.
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次年度使用額が生じた理由 |
抑制刺激発生装置を製作する予定でしたが,納品前の動作確認で問題が生じ,その対策のため納品が令和4年度に延期になりました.また,新型コロナ感染防止対策の影響で旅費と人件費・謝金の執行がありませんでした, 次年度使用額で,動作確認時に生じた問題を解消するため,心拍亢進検出と抑制刺激発生で装置を分けるのではなく一体型の装置として製作する予定です.
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