研究課題/領域番号 |
20K10144
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
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研究分担者 |
角 美佐 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (90284702)
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
榮田 智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
高木 幸則 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (30295084)
林田 咲 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (40644050)
稲富 信之 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (00868127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨吸収薬剤関連顎骨壊死 / ARONJ / MRI / 拡散強調撮MRI / ダイナミック造影MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、MRIを用いた顎骨骨髄の定量的・定性的評価法を確立し、この方法を用いて骨吸収抑制薬剤関連顎骨壊死(ARONJ)の炎症像を解析し、その特徴を明らかにすることである。研究初年度にはTWISTシークエンスとPETRAシークエンスについての検討を行った。その結果、TWISTシークエンスはダイナミック造影時の顎骨骨髄中の血流の変化を定量的に捉えることが可能であり、またPETRAシークエンスは顎骨の微細な骨梁構造を定性的に捉えることが可能であることが示唆された。 当該年度はこれらの方法を用いて、実際に骨髄炎患者のMRI撮像を試みた。その結果、当該年度中に新規のARONJ症例8例のMRI撮像が実施できた。また比較として放射線性骨髄炎2症例及び細菌性骨髄炎2症例のMRI撮像も実施した。これらのデータを解析した結果、ARONJ患者においては骨溶解が進行した部位と、骨硬化が進行した領域での血流量の違いをTWISTシークエンスにより定量的に評価可能であることが示唆された。また骨梁構造の評価についてはPETRAシークエンスがCTと同程度の解像度・解析能を有していることが明らかとなり、定性的評価として用いることが可能であることが示唆された。更に拡散強調MRIのデータの解析も試みた結果、骨溶解領域と骨硬化領域の拡散係数の差が明らかになり、骨髄炎の炎症像の評価に有用であることが示唆された。 また培養細胞を用いた基礎実験については、骨髄炎の浮腫性炎症に伴う細胞周囲の水分含有量の変化が拡散強調MRIに及ぼす影響について、異なる細胞を用いた実験を行なった。その結果、細胞密度と拡散係数との関係が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響によりARONJ患者のMRI撮像を行うことができず、ARONJ患者の検査数を当初の予定通り達成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新規ARONJ患者のMRI撮像データ収集を進める。また過去に撮像されたMRIデータの解析も行う。これらの2つ(新規及び既存)のデータの収集・解析を行い、可及的に多くのARONJ症例のMRIデータの蓄積を試みる。また培養細胞を用いた拡散強調MRIに関する基礎的実験も継続して行う。これらを解析し、当初の予定である顎骨骨髄の定量的・定性的評価法を確立し、この方法を用いて骨吸収抑制薬剤関連顎骨壊死(ARONJ)の炎症像を解析し、その特徴を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の長期化のため前年度は研究者らの出張旅費の使用がなかったため次年度使用額が生じた。当該年度は調査研究や成果発表に係る出張旅費等が必要になる予定である。また培養細胞を用いた基礎研究に関する費用も必要となる。
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