研究課題
腓骨骨切りガイドは、パーツごとに強度を考慮してステンレスおよび樹脂にて作製した。新たに作製した腓骨骨切りガイドを用いて手術を行うことで、腓骨を形成し下顎骨に配置することが容易になった。腓骨骨切りガイドの取り扱いについての困難さはなく、これらの一連の手術時間は短縮された。また、手術を繰り返し、腓骨骨切りガイドの強度や取り扱いやすさの再検討を重ね、パーツごとに仕様を変更した。術前の手術シミュレーション画像と術後1か月経過時のCTを用いて腓骨セグメントの形態についての比較検討を行った。術後のCTから得られた腓骨セグメントの形態は、術前シミュレーションを行った画像と間に大きな差を認めず、腓骨セグメントの長さについては、すべてが1mm未満の誤差に留まっていた。加えて術後6~12か月経過時のCTにより骨接合部の癒合不全の有無について検討した。その結果、腓骨骨切りガイドを使用したすべての骨接合部で骨癒合が確認された。画像的検証により術前シミュレーションの結果を高精度に再現できる腓骨骨切りガイドであると考えられた。これらの結果の一部を各学会にて発表した。また、下顎再建後に生じる骨接合部の癒合不全について、そのリスク因子を検討した。その結果、術後の放射線治療、下顎角・下顎枝部での骨接合、下顎骨の薄い部位での骨接合、骨の接触面積が少ない部位での骨接合がリスク因子として抽出された。今回作製した高精度の腓骨骨切りガイド使用の有無についても検討したが、使用症例が少なかったことより有意差は認めなかった。しかし、使用症例のすべての骨接合部位で良好な骨癒合が得られていたことより、正確な骨切りを行うことが骨癒合不全の減少に寄与していると考えられた。これらの結果の一部を各学会にて報告した。
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