咀嚼筋の内部には多数の“筋内腱”が存在し,アキレス腱のような筋の外にある腱とは性質が異なる.近年,『咀嚼筋腱腱膜過形成症』という新たな概念の疾患が注目されている.本疾患の主な病態は骨格筋内の腱の過形成であり,その病因を解明するためには“筋内腱”の発生機序を明らかにする必要がある.そこで本研究では,“筋内腱”と骨の境目(エンテーシス)の発生機序を明らかにすることとした. その結果,エンテーシス発生に必須のSox9が,胎生初期にのみ高い発現を示し,その後ダウンレギュレーションすることを明らかにした.すなわち,“筋内腱”エンテーシスの発生機序は,一般的なエンテーシスとは異なることを示すことが出来た.
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