研究課題
基盤研究(C)
本研究では、口腔疾患が臨床で最も頻繁に認められる不整脈である心房細動(atrilal fibrillation: AF)に与える影響を、我々が最近構築した口腔疾患マウスモデルを用いて解析した。咬合不調和は交感神経系の慢性的活性化により心房組織のリモデリングやAF脆弱性の亢進を引き起こすことが明らかとなった。一方、cAMP標的分子Epac1の遺伝子欠損マウスでは野生型マウスと比較して咬合不調和による急性期での心機能低下、および死亡率の増加を認めた。このことから、咬合不調和はEpac1が仲介するシグナル伝達により心臓の恒常性に影響を及ぼすことが示唆された。
生理学
近年、AFのリスクファクターとして知られる高血圧、糖尿病、肥満、睡眠障害などの症状を緩和することがAF治療戦略の重要な柱の1つと考えらえている(Circulation 136, 583-596, 2017)。本研究によりAF予防法ならびに治療法としての口腔保健の重要性がさらに明確になり、国民健康寿命の延伸を目的とした歯科検診や診療の推進運動に貢献できるものと期待される。