研究課題
【研究の背景】高齢者の院内転倒は医療安全上重要な防ぐべき課題である。そのため、入院時には看護師などが転倒予測を行い、転倒防止策を実施している。しかし、転倒予測から院内転倒がおこりうると判定された患者にのみ、転倒防止策が行われている。【方法】脳神経系障害を主として入院した患者(2000例)を解析し、院内転倒した患者100名余を同定した。この患者に対して、①院内転倒予測率を算定した。②院内転倒予測が行われて転倒したかどうかを調査した。そして、院内転倒が事前に予測されていた患者群と予測されていなかった群に対して、被害状況ダラー評価項目の数値を比較した。③院内転倒予測を改訂泉式から、他の3つの転倒予測スケールに変更し、シュミレーションしたところ、どの程度予測率が高まるかについて転倒患者の電子カルテデータを用いて検討した。【結果】①改訂泉式転倒スケールでは、予測率が67.3%と低かった。②被害状況は、Level 2以上の転倒したケースが、事前予測せず転倒した群で有意に高かった(P=0.026)。③院内転倒予測をJH式、Mose式に変更してシュミレーションすると、それぞれ98%に予測率が高まることが明らかとなった。【考察】Mose式では、デバイスおよび薬剤項目、JH式では、薬剤項目が予測率を高める理由になっていた。Mose式とJH式で差がないことから、デバイスに対する項目はそれほど問題ではなく、薬剤項目が転倒予測に重要と考えた。そして、転倒しやすい薬剤は看護師が一目瞭然になるよう、電子カルテの紐づけ機能を活用し、薬剤項目のある転倒スケールに置き換え、実用化した。
3: やや遅れている
コロナウイルス感染症のため発表が遅れている。
転倒スケールを従来のものから新しいものに変化させて、実際に転倒予測率が高まるかを調査している。我々が得た結果をもとにした仮説を証明することができる。
研究成果に関する発表費用が必要のため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
総合診療
巻: 32 ページ: 1232-1234
神経治療
巻: 39 ページ: 465-467
Neuropathology
巻: 42 ページ: 232-238