今後の研究の推進方策 |
近年、酸化亜鉛ナノ粒子が、がん細胞内で炎症反応を制御するインフラマソームを惹起し、細胞死を誘導するとの報告がある(Liang, Toxicol. Ind. Health, 2017)。また、酸化鉄ナノ粒子が小胞体ストレスを惹起し細胞死を誘導するとの報告がある(Cai, et al, Int. J. Nanomedicine, 2021)。 上述の報告について、取り扱うナノ粒子の素材や粒子径、投与量、培養細胞の由来組織はいずれも異なるものの、インフラマソームはリソソームの破綻によって引き起こされることや(Li et al, ACS Nano, 2014)、小胞体膜が隔離膜形成やオートファゴソーム膜形成のソースになっていること(Tooze, et al, Nat. Cell Biol., 2010)を考慮すると、いずれもオートファジー・リソソーム系に着目した検証が必要と考えられる。また、近年、オートファジーのネガティブレギュレーターとして注目されつつあるRubicon(Run domain protein as Beclin 1 interacting and cysteine-rich containing)の活発な研究により、リソソームに起因するオートファジーの抑制機構が見いだされつつある。 今後は、上述の個々の先行研究と本実験で得られた検証結果を含めた研究展開をはかっていく予定である。
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