研究課題
基盤研究(C)
突然死例の心筋を試料として,ゲノムワイドなメチル化解析,および心疾患関連遺伝子変異解析,薬剤代謝系遺伝子変異解析を行い,他の死因の試料と比較した.さらに,同一個体の心筋と血液のミトコンドリアDNA解析を行い,その全塩基配列を比較した.メチル化解析の結果ではATP10遺伝子のメチル化に突然死独特の変異が見られ,心疾患関連遺伝子の変異も複数例において確認された.ミトコンドリアDNAでは,血液と心筋で配列が異なるヘテロプラスミーが観察され,心筋での変異が突然死に関与している可能性が示唆された.
法医遺伝学
心臓突然死例は剖検所見のみからでは死因の判断に苦慮することが多い.そこで,先天的要因である心疾患系遺伝子解析に加え,薬剤代謝系遺伝子変異解析,さらには後天的な外的要因となる心筋のメチル化,およびミトコンドリアDNA解析を行うことで多方面からの死因究明が可能となった.死因を正確に判断することで,法律の公正な適用,あるいは公衆衛生の向上に資するという法医学の社会的要請に応えることができる.