研究課題/領域番号 |
20K10623
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
小西 由起子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (70802958)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 再就職 / 看護師 / 組織社会化 / 学習 / 適応 / 社会化戦術 / プロアクティブ行動 |
研究実績の概要 |
わが国では高齢化社会の進展や医療の高度化に伴い、看護職者の需要が拡大しているが、再就職看護師の採用年度内の離職率は新卒看護師の2倍以上に上り、組織への適応の難しさが課題となっている。新規参入者が組織に適応していく過程は、組織社会化と呼ばれ、多くの研究が蓄積されてきた。Ashforth et al.(2007)は組織社会化の統合モデルとして、制度化された組織からの働きかけ(社会化戦術)と、意味形成や関係構築など自ら主体的に行動する(プロアクティブ行動)ことで組織で働くために必要なことを学習し、組織に適応していくというプロセスを示している。この統合モデルを援用し、再就職看護師がいかにして組織に適応していくのか、そのメカニズムが明らかになれば、組織社会化を促進する方策を検討することができると考えた。 【目的】この研究の目的は以下の2点である。①再就職看護師が組織社会化していくための学習内容(小西,2020)を基盤に「再就職看護師の組織社会化にむけた学習尺度」を開発する(2020年度実施)。②「社会化戦術」「プロアクティブ行動」が再就職看護師の学習の促進に与える影響を明らかにする。 【対象】目的①に対して、全国の100床以上の病院に勤務する再就職看護師で再就職経験1~2回、退職後1年以内に再就職した1084名を対象に、再就職看護師の組織社会化にむけた学習尺度案43項目、職業経験評価尺度(鈴木ら, 2004)、ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(Shimazu et al., 2008)からなる質問紙調査を実施した。尺度の信頼性は内的一貫性(Cronbach’s α係数)と時間的安定性(再テスト法)にて、妥当性は構成概念妥当性(探索的因子分析、確認的因子分析)、基準関連妥当性(職業経験評価尺度、UWESとの相関)を用いた。 【結果】再就職看護師372名から回収し(回収率34.3%)、334名分(有効回答率89.8%)を分析対象とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は「再就職看護師の組織社会化にむけた学習尺度」の信頼性・妥当性の検証、及び「社会化戦術」「プロアクティブ行動」に関する質問紙の作成を予定していた。質問紙は作成途中であるが、学習尺度は予定通り完成した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度前期に「社会化戦術」「プロアクティブ行動」に関する質問紙を作成する。2021年度後期は2022年4月採用の再就職看護師約100名をリクルートするための調査依頼などデータ収集のための準備を行う。 2020年度に取り組んだ尺度開発研究は、2021年8月に日本看護管理学学会にて発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度後期に郵送にて調査対象者のリクルートを行う予定であったが、COVID19の感染拡大に伴う医療機関の混乱が予測されたため、対象者選定を2021年度へ延期した。そのため2021年度に対象者リクルートに係る通信費、事務費用として使用する予定である。
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