研究課題/領域番号 |
20K10808
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中戸川 早苗 北里大学, 看護学部, 准教授 (60514726)
|
研究分担者 |
岩瀬 信夫 名古屋学芸大学, 看護学部, 教授 (40232673)
眞嶋 朋子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50241112)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 精神障害者の就労支援 / 看護実践モデル / 統合失調症 / リカバリー |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究の目的は、就労準備段階にある統合失調症をもつ人に「統合失調症をもつ人の就労と生活との調和を目指した看護実践モデル」を用いた看護実践を行い、実践事例の分析から、モデルの適用範囲を広げたことによる課題を明らかにすることである。以下の研究計画を立案した。 【ステップ1】就労準備段階にある統合失調症をもつ人に研究代表者がモデルに基づいた看護を提供する。対象施設は、精神科病院、就労支援施設で、研究対象者は、統合失調症をもつ人で、就労準備段階にあり、就労に挑戦したいと考えている人。人数は10名程度。各対象に対して看護面談を一か月に1~2回、一回一時間以内で面談回数は全7~10回程度実施する。 【ステップ2】モデルを用いた看護実践事例の分析から、「就労準備段階の人の就労の課題」「就労と生活との調和を目指した看護援助」をそれぞれ抽出し、モデルと実践結果の比較検討を行う。 上記2つのステップにより、モデルの精錬作業を進め構築を図ることを目指した。しかし、令和3年度もCOVID-19禍における感染状況が改善されなかったことから、医療機関や福祉施設を研究の場とした【ステップ1】の研究を実施することが難しい状況であった。対象施設は2施設、研究対象者は7名となったが、研究を遂行することができた。また、研究データ収集における面談では、研究対象者がCOVID-19の影響を受けることも多々あり、予定通りには進まなかった。そのため、研究倫理審査委員会に研究データ収集期間延長の申請が必要となり手続きを行いながら進める状況であった。7名の研究対象者のうち、1名は体調不良につき辞退された。データ収集が終了している研究対象者は3名である。データ収集中の研究対象者3名については、看護面談の三分の二ほどが終了している。データ収集が途中であることから、【ステップ2】の実践事例の分析には至っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、研究計画・方法を7段階に分けて明示し実施している。今年度は、7段階のうち2段階までを実施予定(令和3年4月~令和4年5月)とし、【ステップ1】では、就労準備段階にある統合失調症をもつ人にモデルを適用した看護実践を行い、【ステップ2】では、実践事例の分析からモデルの適用範囲を広げたことによる課題を明らかにすることを目指した。 しかし、令和3年度もCOVID-19禍における感染状況が改善されなかったことから、医療や福祉の場を研究フィールドとし看護実践を行う【ステップ1】の研究を実施することが困難な状況であった。COVID-19の感染拡大リスクを常に抱えた状況であったことから、研究データ収集に時間を要し、面談が予定通りには進まなかった。加えてCOVID-19禍における教育業務の超過からエフォート通りに研究活動時間を確保することが困難であった。 2022年3月末には、精神科病院1施設から研究協力施設として内諾を頂き、以前から内諾を頂いた福祉施設1施設と合わせて2施設で研究の遂行が図れた。しかし、看護実践のための面談の日程調整が難しく、半数の研究対象者の面談がまだ終了していない。 進歩時状況としては、【ステップ1】の看護実践に今後2か月の期間が必要であると見込まれ、研究は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、当初の予定では、研究計画・方法の7段階のうち4段階目(目標3)を中心に実施予定(令和3年11月~令和5年9月)とし【ステップ4】で、【ステップ3】(目標2)の【ステップ1】・【ステップ2】研究の結果得られた知見と文献検討を通して、モデルを修正しモデルの構築を図り、目標3の臨床看護師によるモデルを活用した実践を行い、その実践事例の分析から、臨床への活用の課題を明らかにする予定であったが、【ステップ1】・【ステップ2】(目標1)の研究がCOVID-19の影響により遅れたため、【ステップ4】は次年度実施とし、本年度は、引き続き【ステップ1】・【ステップ2】の研究に取り組み、更に【ステップ3】(目標2)の研究まで進めていく。本年度に実施する【ステップ1】・【ステップ2】(目標1)の研究、【ステップ3】(目標2)の研究は以下の通りである。 ≪目標1≫(令和4年4月~令和4年10月):就労準備段階にある統合失調症をもつ人にモデルを適用した看護実践を行い、実践事例の分析からモデルの適用範囲を広げたことによる課題を明らかにする。 【ステップ1】就労準備段階にある統合失調症をもつ人に研究代表者がモデルに基づいた看護を提供する。データ収集が終了していない研究対象者は3名で、精神科病院デイケア所属の2名、就労支援施設1名に、引き続き看護面談を実施する。【ステップ2】モデルを用いた看護実践事例の分析から、「就労準備段階の人の就労の課題」「就労と生活との調和を目指した看護援助」をそれぞれ抽出し、モデルと実践結果の比較検討を行う。 ≪目標2≫(令和4年11月令和5年~4月):モデルの構築を図る【ステップ3】目標1で得られた知見と文献検討を通して、モデルを修正(①就労の課題の検証、②看護援助の検証、③看護実践の具体的な手引き(ガイド)の検証)し、モデルの構築を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
【理由】令和3年度は、就労準備段階にある統合失調症をもつ人にモデルを適用した看護実践を行うことを中心に研究を計画した。しかし、COVID-19の感染拡大リスクを常に抱えた状況であったことから、医療福祉施設に入ることが困難であり、看護実践を伴う研究部分に遅れが生じ研究が予定通りに遂行しなかった。そのため、研究データ保管庫(鍵付き)や書籍の購入、オンラインで実施された学術集会に参加するなど、研究環境を整えることに研究費を使用し、旅費等を使用しなかったことから、次年度使用額が生じた。
【使用計画】令和3年度予定していた研究計画【ステップ1】・【ステップ2】の遂行に伴い生じる旅費等として使用する。
|