研究課題/領域番号 |
20K10842
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
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研究分担者 |
畠中 雄平 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (60649846)
畦地 博子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80264985)
西内 舞里 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10783649)
田之頭 恵里 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90758905)
時長 美希 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00163965)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発達障害のある子どもと家族 / 移行 / 協働型看護ケアガイドライン |
研究実績の概要 |
令和3年度は、コロナ感染拡大により医療専門職者を対象とした面接調査を実施することが困難な状況であった。そのため当初予定していた教育・保健・医療・福祉専門職の協働に基づく発達障害のある子どもと家族の移行を支える看護支援行動の明確化が十分にできなかったが、発達障害の子どもをもつ家族(親)を対象に面接を行うことができた。本年度は、その知見から、発達障害のある子どもと家族の移行を支える看護支援につながる示唆を得ることができた。 発達障害をもつ子どもの親は、幼稚園から小学校、学校に適応できず転校する場合など、子どもの環境の変化に対する見通しのなさなどの困難を抱いていた。特に子どもの支援者が変わることでの困難感を感じていた。そうした状況の中で、親にとって支えとなった看護支援として、〈学校からの就学時の有用な情報提供〉〈子どもの特性に合った学校紹介や学校選択における助言〉〈教員からの子どもの得意や強みを尊重する関わり〉、〈発達障害のわが子をいつでも受け入れてくれる学級体制〉〈いつでも相談できる信頼できる教員とのつながり〉、〈子どもを支える友だちの存在〉〈発達障害のある子ともをもつ親同士の支え〉〈家族が一丸となった協力体制の確立〉などが示された。そうしたケアがあることで、子どもは不登校にならずに、学習にも意欲的に取り組んだりできるようになっていた。親も子どもの成長を見守るなかで「子どものできる力」を信じ、子どもの意思決定を尊重したかかわりを行うことができるようになっていた。 以上のような知見から、子どもの安心や安全が守られる信頼関係の構築を基盤とした環境づくり、子どもの特性や発達段階に応じた親から子どもへのセルフケアの責任の移行を支えるケアも必要になってくることが考えられた。そのためには、より教育・保健・医療・福祉専門職の協働体制のもとでの看護支援の確立が重要でなることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナ感染拡大により医療専門職者を対象とした面接調査を実施することが困難な状況であった。そのため当初予定していた教育・保健・医療・福祉専門職の協働に基づく発達障害のある子どもと家族の移行を支える看護支援行動の明確化が十分にできなかったが、発達障害の子どもをもつ家族(親)を対象に面接を行うことができた。今年度は、面接によって得られた知見から発達障害のある子どもと家族の移行を支える看護支援の検討を行った。 今後は、研究方法を検討しながらデータ収集の回数を増やし、「発達障害のある子どもと家族の就学前から就学後の移行を支える協働型看護ケアガイドライン」(案)につながる教育・保健・医療・福祉専門職の協働に基づく発達障害のある子どもと家族の移行を支える看護支援行動の明確化を図っていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対面だけでなく、リモートを活用した研究方法などを取り入れ、発達障害のある子どもと家族、養護教諭や特別支援学校教員、専門看護師、医師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、保健師等専門職者を対象に面接調査を実施し、子どもと家族の移行を支える看護支援行動を特定化していく。また、継続して発達障害をもつ家族への面接を行う。面接を通して発達障害のある子どもと家族の就学、就職へと生活の場や周りの支援者が変わる中での体験や専門職に対する移行時のケアニーズ、支えとなったケアを明らかにする。先行研究や今年度の家族からの面接調査によって得られた知見も統合しながら、発達障害のある子どもと家族の就学前から就学後の移行を支える看護支援行動を明確化していく。見出された結果や研究者らが開発に取り組んでいる「発達障害のある子どもと家族の就学期の移行を支える看護ケアモデル」による知見、先行研究による知見に基づき、協働型看護ケアガイドライン(案)の作成につなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも教育保健医療福祉領域の専門職者に対する面接調査を実施することが困難となり、人件費・謝金についての実支出額が少なくなった。またデータの掘り起こしも外部委託しなかったためその出費もなかった。物品費についてもプリンタートナーやデータ保存のためのフラッシュメモリー、文具類等、予定していた消耗品の購入がなかったため予定額よりも少なくなった。
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